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吉野家にサラダバー?!

突然ですが。皆さんもよくご存じの牛丼の「吉野家」という店
があります。おそらく、多くの方が行ったことはあると思うの
で、どのような店かは想像できると思います。

さて、その吉野家に、もしサラダバーがあったらいかがでしょ
うか?

サラダバーって良いですよね。まあ、「サラダなんて嫌い」と
いう人もいるかもしれませんが、サラダは健康的ですし、好き
なものを、好きなだけ食べられるというのは、客としてはうれ
しいじゃないですか?

やっぱり、あったらうれしいですよね。


え?うれしくない?!


どうしてですか?


バカなことを書いているように思われるかもしれませんが、同じ商品を売っても、同じサービスをしても、満足してくれる人と、そうでない人がいます。自分が良いと思うものが、顧客に受け入れられるとは限りません。

いくら努力しても、どうしても満足してくれない顧客は、必ず存在するものです。自分では顧客の立場に立って考えているつもりでも、どうしても提供側の視点が残っています。提供側の思い入れが強ければ強いほど、その思いを脇に置いといて、客観的に考えることは難しいはずです。

「吉野家にサラダバー」というのは極端な例ですが、それでも現実的には、ちょっと違和感のあるサービスや商品などが並んでいる店は結構あります。


どうしてそうなってしまうのでしょうか?


それは、自社が何を提供しているかということが曖昧になっているからです。

「何を提供しているかって、うちは牛丼だよ」というように、商品ベースで「何」をとらえてしまうと、どうしても提供しているものが曖昧になってしまいます。


「『提供しているものは牛丼』なんだから、はっきりしているじゃないか」


そう思われるでしょうが、時がたつにつれて、これが曖昧になっていくのです。特に、近隣にライバル店が出現したりするとそういうことが起こります。

ライバルができると、ライバルに負けないように差別化しなければなりません。どうやって差別化するかを考え出すと、とんでもない考えが浮かんできたりするのです。


「そうだ!サラダバーを作ろう!!最近、そういうのが増えているし、肉を食べると野菜も欲しくなる。たっぷり食べたい人もいるだろうから、自分だけ好きなだけとれるっていうのも良いに違いない!!こりゃぁ、差別化できるぞ!!」


「おいおい。そんなこと、考えるわけがないだろ」


そう思われるかもしれません。確かに、この例は極端ですから、そう思われても無理はありません。それでも、起こるんです、実際。

こうならないためには、自社が提供しているものを、もっと顧客の立場でしっかりと定義付けすることが大切です。

吉野家のキャッチフレーズは、「早い、安い、うまい」でした。最近はあまり使われていないかもしれませんが、かつては、この3点が吉野家の売りでした。これを忘れてはいけないということです。

サラダバーは、「安く」て「うまい」かもしれませんが、「早く」はありません。自分で好きなだけ盛りつけるのには時間がかかりますから。

顧客は、「安い、うまい」だけではなく、「早い」を求めて吉野家にやってくるのです。それなのにサラダバーがあっても、ちっともうれしくはありません。別の店にあれば大歓迎であっても、吉野家ではサラダバーはいらないのです。


お客様が自社に何を期待しているのか、しっかり把握していないと、「吉野家にサラダバー」状態が起こります。

もう一度、冷静に見直してみてください。
(小野瀬 真也)

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