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社員も人生を賭けている

中小企業では、経営者は、会社をやめられないといいます。確かに、社員を雇っていて、社員にも生活がありますから、安易にやめるわけにはいきません。

大企業では、サラリーマンが出世して、勝ち抜いた人が経営者になるということも多いですが、中小企業の経営者は、創業者だったり、創業者の一族だったりします。そして、会社の借金の保証人になっていたりします。そうなると、簡単には、社長の座を他の人に譲ることもできません。

経営者は、大きな責任を負って、会社を経営しているわけです。

で、そのことを、以前勤めていた会社でいわれたことがあります。

「お前たちは気楽で良いけど、俺はいろいろと大変なんだぞ」と。

それは、私がその会社に入社して1年も経たない頃だと思います。

中途採用でしたが、未経験の仕事でしたから、1年目といえば教えてもらうことばかりです。同じプロジェクトの先輩に聞きながら、少しずつ仕事を覚えていきます。ただ、仕事の内容が難しいので、そう簡単にマスターできるものではありません。いつも悩みながら、仕事を進めていました。

そんなとき、先輩とともに、社長からいわれたのです。

「今は、俺が稼いで、お前たちを育ててやっている。ありがたく思え」
「育ててもらっているんだから、俺のいわれた通りやってりゃいい(意見を言うな)」
「俺は、お前たちと違って、気楽な立場じゃない」

そんなことをいわれました。いわれたことは、確かにもっともなことです。その通りです。

でも、理屈で考えればもっともなことでも、いわれた当人としては、感情的になっているので、素直に聞くことはできません。

未熟な私は、そのときこう思いました。

「頼んで育ててもらっている訳じゃない」
「いつもは、積極的に意見しろっていってるじゃないか」
「俺だって、人生賭けてこの会社を選んだんだ」

今回は、育ててもらっているということと、意見を言うかどうかについては、ノーコメントにしておきます。

そのとき思ったのは、その会社を選んだことで、私の人生は大きく変わっていたということです。自分で選択した道ではありましたが、嫌ならその会社を辞めればいいというほど、気楽なものではありません。うまくいかないから、リセットして前職に戻りますというわけにもいきません。

一度転職してしまえば、職歴としてしっかりと残ります。その後、別の会社に移ろうと思っても、転職してしまった事実は消えません。その事実を背負って、転職活動をすることになります。

もちろん、嫌だから退職するという事実は、次の就職ではプラスにはなりません。大きなマイナスでしょう。ですから、社員だって、気楽に退職する訳にもいかないのです。

嫌だから退職するというのは、当然、本人にも責任があります。でも、会社側にも多くの責任があります。

採用時に伝えていたことと、現実が違っていたかもしれません。

採用後の対応、教育に問題があったかもしれません。

仕事の与え方に問題があったかもしれません。

本人にも責任がないわけではありませんが、もう少し会社がうまくやっていれば、問題は大きくならずに済むということもたくさんあります。

それを棚に上げて、すべてを社員のせいにするのはどうかと思います。

自分の責任の重さだけを主張するのもどうかと思います。

結局は、お互い様じゃないかと思うのです。

持ちつ持たれつ。

社員がいるからこそ、会社が成り立っている。

うまくいっている会社は、経営者が、そんな気持ちを持っていると思います。

そうじゃないと、問題が次々に起こっているように思います。

悪循環が起こっているように思います。

きれい事をいっている訳ではありません。

客観的に現実を見て、そう思うのです。

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